氷上競技の世界を舞台に、挑戦と成長を描く人気スポーツ漫画「メダリスト」は、読者の心を強く揺さぶる作品です。そんな物語に触れた後、「この作品を描いた作者はどんな人だろう」と疑問を抱いた人もいるでしょう。
当記事では、「メダリスト」の作者プロフィールや受賞歴、創作に至る経緯、物語に込めた思いなどを解説します。作者の人物像を知ることで、登場人物の言葉や選択に込められた意味をより理解でき、作品への感動がさらに深まるでしょう。
1. 漫画「メダリスト」の作者はつるまいかだ
いつもフォローありがとうございます❗️
— 漫画「メダリスト」⛸🏅 (@medalist_AFT) August 19, 2022
このアカウントではフィギュアスケート漫画『メダリスト 』と、作者のつるまいかだ氏の公式情報をお伝えしていきます🏅
これからもよろしくお願いします⛸#漫画メダリスト pic.twitter.com/Pdyeslvef3
フィギュアスケートの世界を題材にした漫画「メダリスト」は、2020年より青年漫画誌「月刊アフタヌーン」で連載が始まった注目作です。
物語は、夢破れた元アイスダンス選手・明浦路司と、家族に反対されながらもスケートに強い情熱を持つ少女・結束いのりの出会いから始まります。全日本を目指すには5歳から始めるのが当たり前とされる競技の中で、小学5年生という遅いスタートを切ったいのりに対し、司はその執念に自身の選手時代を重ねて心動かされ、コーチを引き受けることを決意します。
夢を諦めた大人とこれから夢に挑む子どもという2人の視点が交錯しながら、努力・信頼・成長を丁寧に描いた本作の作者は漫画家のつるまいかださんです。
1-1. つるまいかだのプロフィール・経歴
つるまいかださんは、同人誌即売会「COMITIA123」で発表した4コマ漫画「鳴きヤミ.」で優秀賞を受賞し、その後「メダリスト」でデビューした漫画家です。
幼少期から絵を描くことが好きで、小学生の頃には「鋼の錬金術師」に影響を受けて漫画を描いていたと言われています。本格的に創作に打ち込むようになったのは大学時代で、当初はイラストレーターや画家志望でしたが、漫画を描く友人の影響で自身もWebサイトに作品を公開するようになります。その後、就職して会社員として働く中で完成させた「鳴きヤミ.」で受賞したことを機に退職し、本格的に漫画家を志したと語っています。
そして講談社編集部の担当がつき、約2年の準備期間を経て「メダリスト」1・2話のネームを提出。2020年に「月刊アフタヌーン」で連載開始となり、「メダリスト」がつるまいかださんの商業デビュー作となりました。
2. メダリスト作者・つるまいかだの性別は?出身地は?顔出しは?
つるまいかださんの出身地は愛知県とされていますが、性別・年齢などの個人情報は公表されていません。インタビューやメディア登場時にも顔出しは一切行っておらず、プライバシーを大切にして活動されている印象です。
性別に関しては、作風やインタビューでの語り口から「女性ではないか」と推測されることもありますが、公式には明言されていません。
3. メダリスト作者・つるまいかだの受賞歴
┏・・・・・・・・・・・┓
— 漫画「メダリスト」⛸🏅 (@medalist_AFT) January 22, 2025
🏅最新巻本日発売‼️
┗・・・・・・・・・・・┛
メダリスト12巻発売となりました⛸️❄️
ジュニアGPシリーズに挑むいのりと司。いのりの躍進に触発され、光はある決意を理凰に告げる…🐺
つるまいかだ氏描き下ろし満載のファンブックも同時発売🌟よろしくお願いします‼️ pic.twitter.com/TzhdVWvBM3
つるまいかださんは、同人誌として制作した4コマ漫画「鳴きヤミ.」で、講談社がCOMITIA内で開催する「即日新人賞 in COMITIA123」で優秀賞を受賞。これが漫画家としての大きな転機となりました。商業デビュー作となった「メダリスト」は、発表後すぐに高く評価され、「次にくるマンガ大賞2022」ではコミックス部門第1位を獲得。
さらに、「第68回小学館漫画賞(一般向け部門)」「第48回講談社漫画賞(総合部門)」と、出版社の枠をまたいだ主要漫画賞を次々と受賞しました。加えて、登場キャラクター・結束いのりも「マガデミー賞2022」で主演女優賞を受賞しており、作品そのものだけでなくキャラクター性も広く評価されました。
4. 作者・つるまいかだが語る「メダリスト」誕生の裏側
メリークリスマスです!🎁🎄🎅⛸️⭐️(つるまいかだ)#メダリスト#漫画メダリスト pic.twitter.com/Buf3Mcg8hl
— 漫画「メダリスト」⛸🏅 (@medalist_AFT) December 25, 2024
「メダリスト」がどのような着想から生まれ、具体的にどのような取材や試行を経て形になったのか。ここでは、つるまいかださん自身のインタビューをもとに、作品誕生までの背景や創作の裏側を辿ります。
4-1. フィギュアスケートを題材に選んだ理由
つるまいかださんがフィギュアスケート界を題材に選んだ背景には、「多くの人がテレビで親しんでいるのに、その裏側の過程が知られていない」という着想があります。完成された演技だけが放送される一方で、どのような段階を踏んで技術が身につくのか、読者と同じく自分自身も知らなかったことが創作の動機になったと語っています。
また、愛知県出身であることも大きく、地元のリンクから多くの有名選手が生まれていることを作品に取り入れ、「地元を応援したい」という思いも重なったとのことです。読者との距離感を意識し、成長の過程を描きたいという意図から、「最初から完成された天才」ではなく、小学生のノービス世代を主人公に据えています
4-2. リアリティを追求するための作者の努力
つるまいかださんは「自分が経験しないと描けない」と考え、名古屋スポーツセンターのフィギュアスケート教室に実際に通い、氷上での感覚や会場の空気感まで体でつかもうとしました。リンクに足を運び、幼い選手たちの姿を観察する中で驚いたのはその「自発性」。小学生低学年の子どもが親を振り返らずに黙々と練習を続けたり、送り迎えなしで電車を乗り継いで通ったりしている姿から、「意思の強さ」や「幼くして自立している現実」に強い衝撃を受けたと語っています。
一方で、作品構成にあたっては、物語の中に勝敗が登場する以上、実在のフィギュアスケート選手をモデルにすることは避け、特定選手の評価につながらないよう慎重に配慮されています。
5. 作者・つるまいかだが語る「メダリスト」に込めたメッセージ
──✨❄\#メダリスト展 /❄✨──
— メダリスト展【公式】 (@medalist_ex) August 13, 2025
\\本日開催!!//
メダリスト展、本日より開催いたします!!
皆様のご来場を
心よりお待ちしております!!#メダリスト pic.twitter.com/rQODwvSnaJ
ここでは、つるまいかださんがインタビューで語った「欠点と見える部分こそ才能」「大人と子どもの関係性」「挑む人へのエール」という3つの軸に沿って、その根底にある思いを紐解きます。
5-1. 「欠点」に見える部分こそが才能
つるまいかださんは、いのりやミケ(三家田涼佳)のような子どもたちを描く際、「社会性が低い=悪い子」という見方に強く疑問を持っていると語っています。たとえば、ミケのように大人に反発し、気が強く一匹狼に見える子も、その裏には「自分の考えを言葉にできる強さ」や「他人に流されない意思」があります。
これは将来、誰かを引っ張る力や、困難に負けずやり抜く力として花開く可能性のある立派な才能だと捉えています。大人は「従順さ」を基準に子どもを評価しがちですが、欠けて見える部分を否定してしまうと、その子にしかない光まで失ってしまうかもしれません。だからこそ、「欠点」を矯正するのではなく、その奥にある芽を守り、未来へつなぐ視点を作品に込めていると語っています。
5-2. 子どもと大人の理想の関係性
つるまいかださんが目指したのは、大人が子どもを支配するのではなく、「相棒のように並び立つ関係」です。司がいのりにとってストレスや圧力にならない性格に設計されたのもそのためで、上から導く「指導者」ではなく、同じ高さで伴走する「もう一人の主人公」として描かれています。
また、いのりの母親についてもいわゆる「毒親」や単純な「悪者」として切り捨てず、保護者としての愛情ゆえに壁になってしまう葛藤や過去の傷まで丁寧に描くことを意識していると語っています。そのため、親・指導者・子どもが一方的な上下関係ではなく、それぞれの立場で必死に生きていることが読者に伝わる構成になっていると考えられます。
5-3. すべての挑戦する人へ贈るエール
つるまいかださんは、「誰も歩んでいない道」を選ぶ主人公たちの姿に、新しい挑戦の尊さを込めています。作中のいのりのように「始めるのが遅い」環境は、それだけで諦めの理由になりがちです。しかし、「遅い=無理」と決めつけられた道を切り開こうとする姿こそが希望になると語ります。
さらに、他人と比べるのではなく、「その子だけの得意・不得意」を見守る姿勢の大切さも強調しています。これは親子や師弟といった関係だけでなく、あらゆる人間関係に通じるメッセージとも言え、「誰かを信じて託す」ことの重さと優しさを読者に静かに問いかけています。
まとめ
「メダリスト」を生み出したつるまいかださんは、同人誌での受賞を経て商業デビューに至り、作品は複数の主要漫画賞を受賞するなど高く評価されています。顔出しや性別などは非公表ながら、取材や実体験を通じてフィギュアスケートのリアルを追求していることが、「メダリスト」の大きなポイントです。
一見欠点に見える個性を才能として描く視点や、大人と子どもが上下ではなく相棒のように成長する関係性、「遅く始めても好きなことを続ければ道は開ける」というメッセージも物語に宿っています。作者・つるまいかださんの込めた意図を把握した上で、「メダリスト」を読み返せば、初めて読んだときとは違う発見や感動があるでしょう。
※当記事は2025年10月時点の情報をもとに作成しています






