ハンター×ハンターの中でも特に異質な存在として描かれるジャイロ。20巻で初めて語られた彼は、わずかな登場ながら読者に強烈な印象を残しました。幼少期からの壮絶な過去、人間社会への憎悪、そして「世界に悪意をばらまく」という目的は、作品全体に深い影を落としています。またキメラ=アントに捕食され転生した後も自我を保ち続けるなど、他のキャラクターとは一線を画す存在です。
当記事では、ジャイロの正体や目的、関係人物とのつながり、今後の登場予想を詳しく解説します。
1. ジャイロとは?
ジャイロは、漫画『ハンター×ハンター』に登場する極めて異質な存在で、20巻の203話終盤から204話にかけて初めて語られた人物です。セリフも少なく物語への直接的関与もほとんどないにもかかわらず、その強烈な過去と思想から読者に強い印象を残しています。
生まれたときから過酷な飯場で過ごしたジャイロは、父親から暴力と強制労働を受け続け、言葉すら満足に覚えられないほどの孤独な環境で育ちました。やがて父親が自分に一切の愛情を抱いていなかったことを悟った彼は、12歳で父親を殺害し、逃亡。その後、文明社会を否定し「自然の中で生きる」ことを理念に掲げた組織・NGL(ネオ・グリーン・ライフ)を設立します。
しかしその理想の裏では、麻薬「D²」の製造や非人道的な活動が進められており、彼の真の目的は「世界中に悪意をばらまく」ことでした。NGLが国家となり彼が王として君臨するも、キメラ=アントの侵攻によって崩壊。その後、彼自身がキメラ=アントに転生したとされ、人間の記憶と悪意を保ったまま新たな存在へと変貌します。
しかし、キメラ=アントへ変貌後も「世界に悪意をばらまきたい」という強靭な意思で人間だったときの記憶を思い出し、すぐに女王の元を離れました。すべてを失ったにもかかわらず、再び地道に活動を始めようとする姿勢からは、作中でも屈指の精神力と執念を持つ人物であることがうかがえます。
2. ジャイロと関係の深いキャラクター
ジャイロは謎の多いキャラクターですが、作中ではジャイロと関係が深いと考えられるキャラクターが登場します。以下では、そのキャラクターについて解説します。
2-1. イカルゴ
イカルゴは、タコの姿をしたキメラ=アントで、放出寄りの強化系能力者です。外見こそ異形ですが、内面は誠実で義理堅く、仲間思いな一面を持っています。狙撃の腕は優れており、8本の足のうち1本が空気銃(エアガン)になっていて、念能力「蚤弾(フリーダム)」で遠距離攻撃を行います。また、「死体と遊ぶな子供達(リビングデッドドールズ)」を使って遺体を操作し、戦闘や潜入に生かすこともできます。
ジャイロとの直接的な関係は描かれていませんが、作中ではイカルゴが人間だった頃、NGLでジャイロと関係があったことが示唆されています。
2-2. ウェルフィン
ウェルフィンは、キメラ=アントの師団長の1人で、甲虫のような外見と人間の身体を併せ持つ狼型のキャラクターです。極めて疑り深く、嘘や策略を巧みに使う一方で、自分の念能力すら信用しないほどの懐疑主義者として描かれています。強い地位欲を持ち、「影の王」として権力を握ることを目指していたことも特徴です。
人間だった頃の名前はザイカハルで、NGLに所属し、ジャイロを王として深く尊敬していました。キメラ=アントに転生後もその記憶は残っており、王メルエムに仕えていながらも「自分の王はジャイロだ」と語る場面があります。最終的には、ジャイロを探すために流星街へ向かう姿が描かれ、彼の忠誠心と執念の強さが印象的です。
3. ジャイロの正体や目的とは?今後の展開を予想
ジャイロの正体や目的は、作中でも未だ多くの謎に包まれています。彼が何を目指し、どこへ向かったのか、そして再登場の可能性はあるのかはファンの間では長年議論が続いています。ここでは、彼の目的や行動、強さ、今後の登場について順に考察します。
3-1. ジャイロの正体はコアラ?
ジャイロの生まれ変わりがコアラであるという説は存在しますが、その可能性は低いと考えられます。たしかに、コアラが放った「救えねぇ」というセリフは、ジャイロの人間観や価値観に通じる部分があり、両者の思想的な共通点が指摘されています。しかし、コアラは元ヒットマンとしての過去を持ち、罪悪感と向き合うキャラクターとして描かれています。
一方でジャイロは、自らの境遇から社会全体への憎悪を抱き、個人の罪にとらわれる人物ではありません。この違いは決定的です。さらに、物語中でジャイロは明確に「自我と目的を保ったまま」キメラ=アントとして生き延びていると示唆されており、コアラ=ジャイロ説を裏付ける直接的な証拠は存在しません。
3-2. ジャイロの目的とは
ジャイロの目的は、「世界中に悪意をばらまくこと」にあります。彼は幼少期から極度の虐待と孤独の中で育ち、人間社会そのものに絶望していました。その経験が、彼の人生の根底にある「人間への憎悪」と「社会への復讐心」を形成しています。やがてNGLという独自の国家を築き、反文明的な思想のもとで麻薬「D²」を流通させ、人間を堕落させることを目的に活動していました。この思想は、捕食されキメラ=アントとなった後も失われていないと考えられます。
むしろ新たな力を得たことで、彼の「悪意を広げる」という信念はより強固になった可能性があります。ジャイロはただの敵ではなく、「人間の絶望を体現した存在」として、物語の根幹に影響を及ぼす存在です。
3-3. ジャイロが向かった先はどこ?
ジャイロが向かった先として最も有力なのが流星街です。物語中でヒナ、ウェルフィン、ビゼフの3人が「ジャイロを探して流星街へ向かった」と語っており、その発言から彼がすでに流星街に到達している可能性が高いと考えられます。
流星街は外部から干渉を受けない独立した社会であり、かつてNGLを築いたジャイロの思想と非常に相性が良い場所です。彼が再び「文明への反逆」と「悪意の拡散」を実現するために、流星街を新たな拠点として選んだ可能性があります。
今後は、幻影旅団や流星街の勢力と関わりながら再登場する展開も期待されます。ジャイロがどのような形で物語に再び姿を現すのか、多くの伏線が残されたままです。
3-4. ジャイロの強さはどの程度?
ジャイロの強さについては、人間的な弱さと知恵の象徴として描かれている点が特徴です。キメラ=アントに捕食された当時、彼の肉体的な強さはほとんどなく、戦闘能力は皆無と言ってよい状態でした。しかし、転生後は念能力を発現している可能性が高く、その能力は強力であると推測されます。
とはいえ、ジャイロの本質は力そのものではなく、弱さを知るがゆえに生まれる狡猾さと執念にあります。メルエムのような圧倒的な暴力ではなく、計画性と知略によって世界を動かす存在になるでしょう。物理的な意味での「最強」ではなく、人間の負の感情を武器とした「最恐」のキャラクターとして再登場する可能性が高いです。
3-5. ジャイロは今後どのように再登場する?
ジャイロは、今後ハンター×ハンターの物語で人間社会への復讐を軸に再登場する可能性が高いと考えられます。キメラ=アントとして生まれ変わった彼は、すでに流星街に拠点を築きつつあるとされ、新たな国家や組織を作り上げている可能性が示唆されています。その目的は、自らが築いたNGLの理念をさらに拡張し、文明社会そのものを崩壊させることにあるでしょう。
もし再登場するなら、人間の悪意を体現する新たな敵として物語の中核に関わる展開が想定されます。ジャイロの思想と念能力がどのように描かれるか、今後の展開に注目が集まっています。
まとめ
ジャイロはハンター×ハンターに登場するNGLの創設者で、「世界に悪意をばらまく」ことを目的とした人物です。過酷な幼少期を経て人間社会を憎むようになり、理想の国を築くもキメラ=アントに捕食され転生。その後も強烈な自我と目的を保ち、流星街へ向かったとされています。
現在はそこで新たな国家を築いている可能性が高く、再登場時には人間社会への復讐を果たそうとする新たな脅威として描かれることが予想されます。
※当記事は2025年12月時点の情報をもとに作成しています









