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「僕の戦争」とは?話題のアニメ主題歌の特徴と歌詞の意味を解説

「僕の戦争」とは?話題のアニメ主題歌の特徴と歌詞の意味を解説

「僕の戦争」は「進撃の巨人 The Final Season」の主題歌として注目された、神聖かまってちゃんによる楽曲です。神聖かまってちゃんが進撃の巨人の主題歌を担当するのは二度目ですが、「僕の戦争」は壮大さやダークな雰囲気が進撃の巨人の世界観とマッチしていると話題です。

今回は、「僕の戦争」の楽曲としての特徴や歌詞の意味を詳しく解説します。「僕の戦争」の世界観をもっと知りたい方や、歌詞の意味を知りたい方はぜひ当記事をご覧ください。

1.「僕の戦争」は進撃の巨人の主題歌!

神聖かまってちゃんが歌う「僕の戦争」は、「進撃の巨人 The Final Season」の主題歌として注目されました。

神聖かまってちゃんとは、の子(ボーカル・ギター)・mono(キーボード)・みさこ(ドラム)の3人からなるインターネットポップロックバンドです。

人気アニメ「進撃の巨人」の作者である諫山創さんは、以前より神聖かまってちゃんの大ファンだと公言しています。神聖かまってちゃんが同作のテレビアニメ版テーマソングを担当するのは2回目で、1回目は「進撃の巨人Season2」のエンディングテーマ「夕暮れの鳥」でした。

今回の「進撃の巨人 The Final Season」は同作の最終章にあたり、「僕の戦争」はオープニングテーマとして起用されています。原作者の諫山さんはインタビューで「僕の戦争」について、「聞いていると神聖な気持ちになれる。想像力が刺激される大好きな曲です。」と称賛しています。

1-1.「僕の戦争」の特徴は?

作詞・作曲を担当した神聖かまってちゃんのの子さんは、「聖歌と日本昔ばなしを合わせたような曲」「異世界にいたと思ったら下校帰りに続くような化かし方」を表現したと話しています。聖歌隊を用いたことで最終章に相応しい壮大さが目立つ、耳に残る仕上がりが特徴です。

全体を通して規則性のないリズムは、「Aメロ、Bメロ、サビ」という従来の楽曲が持つおきまりのパターンとは大きく異なります。不規則なリズムにより、原作の持つ不安や恐怖・怒り・憎しみといった戦場のダークな世界感がより一層掻きたてられています。

また、冒頭の呪文のようなコーラス部分も特徴的です。造語で特別な意味はないとされていますが、聞く人によってさまざまな聞こえ方がすることから、インターネット上では「こう言ってるのではないか?」「こんな意味が込められているはず」といくつもの憶測が飛び交っています。

2.「僕の戦争」の歌詞に込められた意味は?

「僕の戦争」の歌詞は、全体を通して「進撃の巨人」のストーリーとリンクさせた内容となっており、人の悪意(いじめ・戦争)についての強いメッセージが込められています。

英語が多いため1回聞いただけで細かい意味まで完璧に理解するのは難しいものの、1つ1つの文章を丁寧に訳せば、曲を通して伝えたい思いを読み解けます。また、後半の日本語詞パートの意味を踏まえて聞くことで、曲に対する印象がガラっと変わる点も楽しみ方の1つでしょう。

ここではパートごとに歌詞の意味を詳しく考察します。

2-1.Let’s start a new life from the darkness~

Let’s start a new life from the darkness

Until the light reveals the end

Fear, hatred, sorrow, desperation

Even you look miserable

Look down from above

I feel awful

The time has come

Let’s all go home

Sinister faces, growing curses

This is my last war

引用:Utaten「僕の戦争」/引用日2023/07/12

冒頭部分の歌詞を和訳すると以下のようになります。

さぁ暗闇に終わりを告げて、新しい人生の始まりだ。

光が終わりの時を明かすまで。

恐れ、憎悪、悲しみ、絶望

それがどんなに惨めに見えても

上から見下ろすのはなんて最悪な気分。

時は来た。

皆、家に帰ろう。

暗い顔では呪いが育つ。

これは、私の最後の戦争。

負の感情に蝕まれていた自分に終わりを告げ、戦いの火蓋を切るような覚悟が歌われています。進撃の巨人のストーリーに当てはめて考えてみると、悪意に満ちた世界に対する憎しみや怒りの中で何とか立ち上がろうと自身を孤高する登場人物たちの姿に重なります。

最後の部分では、何か大きな決心・決断をしたことを感じさせる歌詞となっており、主人公エレンの「世界を滅ぼしてすべてをリセットしよう」という心情に沿っているようにも受け取れるでしょう。

2-2.Angels playing disguised with devil’s faces~

Angels playing disguised with devil’s faces

Children cling to their coins squeezing out their wisdom

Angels planning disguised with devil’s faces

Children cling on to their very last coins

Destruction and regeneration

You are the real enemy

引用:Utaten「僕の戦争」/引用日2023/07/12

歌詞を和訳すると以下のようになります。

天使たちは、まるで悪魔のような顔をして遊んでいる。

子供たちはわずかなお金にしがみつき、知恵を絞って生きている。

天使たちは、まるで悪魔のような顔をしてある計画を企てる。

子供たちは、残された最後のお金にしがみつく。

破壊と再生

それが本当の敵だったとはね。

負の感情に関する言葉が続いた後で突如現れる、今までの雰囲気とは相反する「天使」というワードに驚くかもしれません。幸せや清い心の象徴でもある天使でさえ、この暗く悲しい世界では悪魔のような醜い笑顔を浮かべていると歌っています。

子供たちは、自分達ではどうにもできないこの現実から逃れることもできず、残された僅かなお金(希望)にしがみつくようにして日々を生きています。この様子はまるで、巨人と人類との辛く悲しい戦争の様子を表しているようにも聞こえるでしょう。

そして最後の2行は、正に進撃の巨人の世界観そのものです。強大な壁を前に、地鳴らしという形ですべてを破壊して世界を再生させようとする主人公の心情が描かれています。

2-3.The only memory left is trauma~

The only memory left is trauma

Imaginary friend’s kind words

The evening train was shaking

I purified the imperfect flowers

The pain in my heart getting higher

My comedy show at its peak

The frogs were crying on our way home

This is my last war

引用:Utaten「僕の戦争」/引用日2023/07/12

歌詞を和訳すると以下のようになります。

残されたのは、トラウマとなった思い出だけ

想像の中の友人がかけてくれる優しい言葉

夕暮れ時の電車は揺れていた

不完全に咲いた花は浄化され

私の胸の痛みは一層強くなっていく

人生というコメディショーは今がピークだ

カエルたちが鳴いている帰り路

これは、私の最後の戦争。

多くのトラウマを抱えながら、長い間戦ってきたキャラクターたちの心情に重なる歌詞です。戦争の中で別れることとなった友や家族を思い、空想上の彼らがかける温かい言葉を胸に今日まで頑張ってきた様子が伺えます。

後半は、「淡々と過ごす日々の中、ふと心の中で何か変化が起きた」といった転機を匂わせる構成です。自身の人生をコメディーショーの最高の盛り上がり地点に例え、ここから新たな変化が起こることを予見させる歌詞となっています。

2-4.帰り道を無くした風景~

帰り道を無くした風景

夕焼けこやけ逆さまに

下校時間 鳴きだすチャイムと

だんだんと落っこちてゆく

帰り道を終わらせないって

泣いていいよ今だけは

線路沿いに消えちゃった菜の花

来年また咲いてなんて

帰り道を無くした風景

夕焼けこやけ逆さまに

下校時間 他人の影踏み

気づいたら夜明け 1人きり

1人きりを終わらせないって

泣いていいよ今だけは

明日の準備がどうせまたあるし

宿題やって寝なくちゃね

引用:Utaten「僕の戦争」/引用日2023/07/12

ここで一気に雰囲気が変わり、日本語の歌詞が始まります。下校時間・チャイム・悲しみといったワードから、学校で虐めにあっていることが伺えます。辛い1日がやっと終わったと、安堵と悲しみから膝を抱えてうずくまり、夕焼けが逆さまに見えているのでしょう。

全体を通して暗く負の感情を連想させるワードが多くちりばめられている中、ラストの日本語部分では、はじめて未来に想いを馳せるような単語が出てきています。辛い現状を変えたいという願いが込められているようにも感じ取れます。

まとめ

「僕の戦争」は神聖かまってちゃんが歌う「進撃の巨人 The Final Season」のテーマソングです。進撃の巨人の世界観とリンクした歌詞と、規則性のないリズムがダークな雰囲気をより一生引き立てています。

英語のみの意味深な歌詞から始まり、終盤で日本語詞パートが現れることで曲の印象が前半と後半で大きく異なる点も魅力の1つです。神聖かまってちゃんらしさが存分に感じられる「僕の戦争」を聞く際は、ぜひ歌詞にも注目してみましょう。

※当記事は2023年7月時点の情報をもとに作成しています

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