黒蜥蜴

「黒蜥蜴（くろとかげ）」は元々1934年に発表された江戸川乱歩の推理小説である。美貌の女盗賊黒蜥蜴と探偵の明智小五郎が織り成す妖しくも美しい物語として人気が高い。この小説は三島由紀夫によって1961年に戯曲化され、1962年に初代・水谷八重子主演で公演された。この舞台の特徴は、歌舞伎の「割りぜりふ」の技巧を物語の中に取り入れていることである。とりわけ探偵役である明智小五郎と黒蜥蜴が交互にセリフを述べた後に、「でも最後の勝利は私のもの」と声を揃えるくだりが有名だ。三島版「黒蜥蜴」はその後、1968年には丸山明宏（現美輪明宏）主演による舞台が初上演された。美輪明宏は演出・美術・衣装・音楽・人選なども自ら手がけながら、その後何度もこの作品を演じている。そのほかにも1984年と1986年に行われた坂東玉三郎主演による公演も有名だ。また、2006年には元宝塚トップスターである麻実れい主演、デヴィッド・ルヴォー演出によって上演され、麻実れいはこの舞台によって第6回朝日舞台芸術賞舞台芸術賞と、第14回読売演劇大賞優秀女優賞を受賞することになった。デヴィッド・ルヴォー演出による「黒蜥蜴」は2018年に中谷美紀主演で再び上演されている。