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ライブハウスのチケットノルマとは?意味やさばき方・注意点を解説

ライブハウスのチケットノルマとは?意味やさばき方・注意点を解説

ライブハウスで出演する際には課せられることが多いのが、「チケットノルマ」です。チケットノルマはライブ出演に当たって最も代表的な仕組みとなっています。ただし、チケットノルマに苦しむバンドやアーティストも少なくないため、事前に仕組みやチケットのさばき方を押さえることが大切でしょう。

当記事では、ライブハウスのチケットノルマの意味や仕組み、チケットのさばき方や注意点について解説します。チケットのさばき方が分からず困っている人は、ぜひお役立てください。

1.ライブハウスのチケットノルマとは?意味と理由

ライブハウスのチケットノルマとは、主催者から出演者に対して課せられる、必ず売らなくてはならないチケット枚数のことです。例えば、主催者に「チケットノルマ20枚」と指定された場合、出演者は少なくとも20枚のチケットを売り、20人のお客さんを会場に呼ばなければなりません。

チケットノルマがある理由は、主催者側の赤字を確実に回避するためです。ライブの開催には機材代やスタッフの人件費など、さまざまな経費がかかります。スポンサー支援のないライブにおいて必要経費を補い次のライブ開催につなげるには一定の​​収入源が必要であるため、チケットノルマが設定されます。

2.ライブハウスのチケットノルマの達成・未達成の仕組み

ライブハウスのチケットノルマを達成できた場合、指定枚数を超えた分のチケット代はチャージバック(チケットバック)として出演者に還元されます。例えば、チケットノルマが20枚で25枚売り上げると、チケット5枚分の報酬が出演者に支払われます。ただし、チャージバック率が50%〜などと定められていることもあり、ノルマ額以上に売り上げたチケット代が必ずしも100%出演者の懐に入るとは限りません。

一方、チケットノルマを達成できなかった場合、出演者は足りないチケット枚数分の代金を自腹で主催者に支払う必要があります。20枚のチケットノルマが課されてチケットが15枚しか売れなかった場合、出演者は5枚分のチケット代金を主催者に支払います。

3.ノルマを達成するためのチケットのさばき方

チケットをたくさん売るには、ライブに足を運んでくれる固定ファンや友人を多く持つことが大切です。ライブに出演するだけでなく、お客さんとしてもライブに行き、仲のよいバンド仲間を作ってみるのもおすすめです。

ほかにもチケットのさばき方はいくつかあるため、以下で紹介します。

3-1.SNSを活用する

ライブチケットを売るには、SNSやブログを活用して広報活動を行いましょう。バンドのアカウントを作成し、日頃の練習動画やライブ動画をアップしたり出演情報を告知したりすると、ライブ好きの人や音楽関係者の目に留まりやすくなります。

また、バンドメンバー紹介や日常の投稿も行うと人となりや音楽へのこだわりを知ってもらえるので、ファン獲得につながります。SNSを通じてたくさんのバンドマンとも交流できるので、ライブに呼べる知り合いも増やせるでしょう。

3-2.友人や家族に来てもらう

なかなかチケットを売り捌けない場合は、友人や家族に来てもらうのも手です。音楽やバンドについてよく知らなくても、仲のよい友人や身内が出るなら演奏を聴きに来てくれる人は多いです。

ただし、疎遠になっている相手にライブの案内だけ送りつけるのは、「売り上げのために利用されている?」と不信感を与えるため避けてください。普段から連絡を取り合っている仲でも持ちつ持たれつの関係性を意識し、ライブに来てくれた分ギブできるように努力しましょう。

3-3.チケット販売サイトで売る

チケットの売り上げを伸ばすために、金券ショップの委託販売を利用してみるのもおすすめです。一部の金券ショップでは簡単な手続きを踏むだけで、売れ残ったチケットを代わりに販売するサービスを実施しています。ただし、そもそも知名度の低いアマチュアバンドのチケットは買い手がつかないため、出品すらできない可能性があります。買い取ってもらえるかは、事前に利用したい金券ショップに確認しましょう。

3-4.路上ライブで販売する

路上ライブを開催してその場でチケットを販売すると、曲を気に入ってくれたお客さんがチケットを購入してくれるかもしれません。チケットがさばけるだけでなく、路上ライブから有名になったアーティストのように認知度アップのチャンスでもあります。

路上ライブをする際は、人通りの多い場所を選ぶことが重要です。チケットの売り上げを増やすためにも、なるべくたくさんの通行人に見てもらえるような場所を選びましょう。ただし、原則として路上ライブを行うには警察や所有者の許可が必要です。市区町村が所有する公共スペースを許可制で貸し出している場合もあるため、ぜひ利用してみてください。

4.チケットノルマを達成する秘訣

チケットノルマを達成できないバンドは多く、自己負担分が払えないのでアルバイトを増やし、音楽に費やす時間が減ってしまう悪循環に陥る人も少なくありません。チケットノルマ制度のあるライブは、よく検討してから出演するのがおすすめです。

以下では、チケットノルマを達成する秘訣を解説します。

4-1.ファンを増やしてからライブをする

ライブに来てくれるファンを増やし、チケットノルマを確実に達成できるようになってからチケットノルマのあるライブに参加しましょう。事前に必ずノルマ枚数とチケット代を確認し、ライブ動員の見通しが立ちそうであれば出演を決めてください。

ライブに出演している人の中には、「ライブをしてファンを増やすのでは?」と思う人もいるかもしれません。しかし、チケットノルマのあるライブはそもそも集客力が乏しく、ファンを増やすには不向きと言えます。今はSNSで世界中の人に楽曲や存在をアピールできます。チケットのノルマに苦しみながらファンを増やすより、ネットに頼ってファンを増やすほうが賢い選択でしょう。

4-2.チケットノルマのあるライブの出演を避ける

チケットノルマのあるライブへの出演を避け、ノルマのないライブを中心に選んで出演するのもおすすめです。ノルマのないライブの1つとして、参加費制が挙げられます。参加費制は、「出演者1人につき〇〇円」と参加費を課すシステムです。支払い金額が明確であるため、初心者バンドにも向いています。また、チケットがたくさん売れればチャージバックを用意していることがほとんどです。

ただし、「チケットノルマのあるライブには出ない」と公言するのは避けましょう。なぜなら、「自分たちはチケットノルマを達成できないし、ファンを集める気もない」と宣言しているのと同じであるためです。集客する気がないバンドは、主催側や同じイベントに出演するバンドから疎まれる可能性が高いです。

4-3.ライブイベントに何度も出演しない

チケットノルマを達成するには、ライブの本数を制限して1つのライブに来てくれるお客さんを増やすのも有効です。

あまりにも多くのライブに出演していると、熱狂的なファン以外はすべてのライブに通うことが難しくなり、お客さんが分散してしまいます。1回1回のライブに特別感がなくなり、「どうせまた出るから、次のライブに行けばいいか」と思われる可能性も高くなります。駆け出しバンドでもライブの数を増やしすぎず、確実に集客できるペースで出演するように意識しましょう。

5.チケットノルマにおける注意点

チケットノルマのあるライブハウスから来る出演依頼は、あくまでもライブハウス側がチケットノルマで利益を得るための営業と理解しましょう。本当に音楽性や​​実力を評価していて人気のあるバンドであれば、ギャラを払ってでも出てほしいと出演オファーされます。営利目的のみで送られてくる出演依頼は、断っても何の問題もありません。

また、ノルマの内容は事前に確認することも大切です。バンド側が出演を決めるまでノルマを教えてくれなかったり、ライブ当日になって急にノルマを釣り上げたりする悪質な主催者もいます。悪質な主催者のビジネスのために搾取されないよう、問い合わせてもノルマを教えてもらえない場合は、出演や支払いを断って自分の身を守りましょう。

まとめ

ライブチケットのノルマとは、ライブハウスやイベント主催者が出演者に対して課す、必ず売らなくてはならないチケット枚数のことです。ライブハウスの必要経費を最低限補うために設定されています。

チケットのノルマ以上に売り上げると、売り上げた分の料金を設定された%によって還元されます。ただし、ノルマを達成できなかった場合は、自腹で出演者に残ったチケット代を支払わなければなりません。

チケットをさばくには友人や家族に来てもらったり、SNSを活用したり、路上ライブで販売したりなどが効果的です。しかし、チケットがさばけず自腹を切ることが生活や音楽活動に影響を与えている場合は、チケットノルマのあるライブの参加を控えるのがよいでしょう。

※当記事は2023年4月時点の情報をもとに作成しています

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